本当に、どうでもいい話です。

 私はどうしていいか判らなかった。

 助かるなんて、思ってもいなかったから。

 彼のことも持て余していました。

 傍にいることは許されましたけど、

 今まで、酷いことをしてきた私が彼に掛ける言葉なんてありませんでしたし。

 支えるなんてそんな資格はなくて、出来なかった。

 以前のように、触れることも。

 だから、一方的に約束をしました。

 そして、逃げた。

 彼は、責めませんでした。

 ――いや、ただ何も言わなかっただけです。

 自分のいいようにとらえて、目を背けていた。

 彼がその後どうなってしまったかなんて、判りません。

 約束通りにそこに行ったら、もう、何も残っていませんでしたから。

 ――何も。

 嘘みたいに、何も無かった。

 一方的に押し付けた約束など、効力がある訳が無い。

 ただ、また彼を酷く傷つけたことは、確かです。

 今でも知らない。

 彼が生きているのか、死んでいるのか。

 だから私は、それを知るために今、ここに居るのかもしれません。

 一番つまらない出会いをして、

 一番つまらない別れをした。

 今でも時々思うんです。

 …別の結末があったんじゃないかって。

 もっと、幸せな結末があったんじゃないかって。

 探してはいるけれど、見つかるとは限りません。

 例え見つかっても、『幸せな結末』は訪れない。

 今更もう二度と彼の傍には行けないのは判ってる。

 後悔したって、時は戻らない。取り返せない。

 ――だからこれは、どうでもいい話なんです。

end.