「ふむ、なるほど。――そういうことか」

 腕の中の立香の服を乱し、たくし上げ、晒された立香の腹部を見た時、賢王ギルガメッシュはその怜悧な目を細めそう、呟いた。

「貴様の魔術回路は腹にもあるのか」

 王様の尖った篭手の指先が今は見えていないはずの、起動していない魔術回路を辿って立香の肌を這っていく。立香の肌の上になにか絵を描くような、その繊細な感触にざあ、と鳥肌が立った。くすぐったいような、逃げ出したいような、ひやりとした神経に触れる危機感のような。なんとも言い難い感覚が立香の背筋を走って行く。

 その立香の身悶えをギルガメッシュは背後から抱え込んだ状態で抑え、つつつ、と辿る指先は立香のヘソの下、あと少しで際どい部分へと到達しかねない腹の上でぴたりと止まった。確か以前見た記憶通りなら、ちょうどそこで魔術回路が行き止まっているはずの、その場所。

 その場所を軽く押した指先がくるりと皮膚の上に円を描くのに、びくびくと立香の腹が震える。仕方がない、そこは無防備に晒すべき場所ではない、し、魔術回路を意識した所為なのか、なんだかぞわぞわして落ち着かない。

 ギルガメッシュの指は、立香の腹をするりするりと撫で遊ぶ。肌の感触を確かめてでもいるのか、いつものように灯りの落ちた部屋、蓄光する鉱石の入ったランタンから受ける光を受けて、うっそりと笑う。

「つまり、お前は男の快楽も、女の悦楽も得られるということだ」

 告げられた言葉に、びくんと体が跳ねた。待て、『女の悦楽』とは何だ。意味が全く判らない。頭は理解出来ないのに、体は何故か知っているかのような反応をする。混乱する頭を落ち着かせるため問い返そうと立香は背後の王様を振り返って、目に入ったその瞳の彩に言葉が止まる。

 赤い瞳が眩惑のきらめきを湛えて、立香をじっと見ていた。厳かとも取れる声音で、下腹部を思わせぶりに撫でながら言葉が続く。

「ここに魔力を直接注げば、どうなるであろうな?  ――熱した鉄を胎に入れるかのような、神経を直になぶるような快感を得られよう」

 うっそりとした蠱惑的な笑みを向けられて、立香の心臓がどくん、と跳ねる。

 初めて複数契約を行った時のことだ。

 魔術回路に大量に魔力を通した結果、令呪に繋がっていた立香の右腕は暫く麻痺して使い物にならなかった。回路を強引にねじ込むように通っていく魔力の奔流、その熱さや腕が裂けそうな程の強い衝撃をまざまざと思い出して、立香の喉が引き攣れる。

 アレを、腹の奥で?

 それがどういうことかと理解するよりも早くカッと頭が熱くなって、立香は衝動的にギルガメッシュの腕から離れようとした。何が行われるかもきっと正しくは判っていないだろう。けれど、本能的に羞恥や危機感というものを察知して、ベッドの上に手を付き逃げようと腰を浮かす。

 だがもちろんそんな立香を逃すはずもなく、王様はひょいと腕を伸ばし掴まえた立香の背中にのしかかり、そのまま上から押さえ込む。

「まあ待て、そう逃げずともよい。判っておる、貴様にはまだ早い」

 そうして重なった体、しかも服越しとはいえあからさまに腰をぐっと押し付けられて、立香は思わずひゃあと悲鳴を上げた。その声に彼は獲物を追い詰めた猛獣のようにくく、とその喉を鳴らす。

「さて、まずはこのうぶな体に快楽とは何であるかを手解きしてみるか。安心して身を任せるがよい。我はこの世のありとあらゆる快楽も知り尽くした王よ」

 そうして立香は、キスだけで腰が抜けるという都市伝説くらいでしか知らない表現を、実体験することとなった。

「よんせんねんこわい…」

 ただのキスだなんて絶対に言えない、とにかくすごかったとしか貧弱な語彙しか持たない立香には表すことが出来ない。

 ベッドに沈んだ状態でぷるぷる震えながら言えば、フン、と鼻であしらわれてしまう。

「あの程度、その千分の一もないわ。貴様、童貞にも程があろう」

 童貞だろうとどうでもいい、あんなキスは自分には到底出来ないことは身に沁みた。何か色々無理だ。立香の性的な部分がキャパシティオーバーだ。何度も舐られ甘噛みされた唇がじんじんとして、なんだかむずがゆい。口の中があんなに気持ちいいとは思っていなかったし、何度も擦り合わせ、絡め合った舌だって痺れている。

 これから食事をする時、ふとした拍子にギルガメッシュの舌の動きを、その舌が齎したくすぐったくもあり気持ちよくもあるあの感覚を思い出しそうで、その想像自体もまた恥ずかしかった。だが。

「でも、あの。……嬉しいです」

 気まぐれなのかも知れないが、それでも立香に好意がなければ、キスなんて出来ないだろう。しかも結構長い時間。

 魔術の世界は性的な部分との繋がりがあり、その辺りの観念が違いすぎて正直立香は腰が引けるところもあるが、こうやって男の立香にも抵抗なく触れてくれるのは、嬉しかった。

 ギルガメッシュは自分の判断が絶対だから、触れたくないものには触れないだろうし、そもそもこうやって彼のベッドの上に居ることすら許さないだろう。

 恥ずかしさを抑え込んでただ、ふにゃふにゃしたまま素直に気持ちを伝えれば、王様はその静謐さを湛えた深度の高い赤でもってじっ、と立香を見詰めていたが、 「…うむ。よし。興が乗った」 そう言い、おもむろに立香の魔術礼装のチノパンを取り去ろうとした。

「えええっ! ちょ、王様、待って…!」

 あまりの突然さに思わず声を上げる。いや、突然だろうが丁寧だろうが、さすがにこれはまずい。

 キス自体でもそうだったが、何よりキスの間中明確な意思を持って服越しに押し付けられ、擦り付けられた下半身が、さっきからかなり危険なのだ。勘弁して下さい。

「閨で待てと言われて、待つ男はおらぬ」

「俺も男なんですけどー!!」

 赤い顔をしながら必死にベルト部分を掴むけれど、サーヴァントの腕力に叶うはずもない。あっという間に脱がされ、ぽい、とあっけなくベッドの向こうに投げられた。

 そのままじっ、と見詰められるその視線に耐えきれるはずもない。頼りない下着一枚では心許なく、脚をすり寄せて極力王様の視界から隠そうとした哀れな抵抗は意味を成さず、彼は無情にも立香の両膝をあっさりと開いて体を割り入れてくるので、立香はぴゃああと悲鳴を上げた。もう、この、うつくしいひとに自分の下半身の、下着越しでも判るとんでもない状態が見られている羞恥を受け止めきれない。涙がにじんできた。

 両腕で顔を覆って隠せば、残っていた上半身の衣服もするりと慣れた手つきで脱がされてしまう。そのために両腕を挙げていたんじゃないんですけど! そう言おうとしてギルガメッシュを見れば、いつの間にか彼もまた全裸になっていて、思わず立香は状況も忘れ「早ッ」と、突っ込んだ。

 しかしそれも、ゴブレットを弄ぶ時のような仕草でするりと下着の上から思わせぶりに、いたずらになぞられては、羞恥やらなんやらで落ち着こうとしていた部分が敏感に反応してしまった。

「…薄いな」

 ふむ、とひとつ頷くとそう呟かれた。なにがですか。いやそんなことよりも。

「王様どこ触ってるんですか!」

「貴様のその未使用の――

「質問じゃないから答えなくて良いです!!」

 慌てて起き上がり王様の口を手で塞げば、不敬だぞ、と眉をしかめたものの、その立香の手を取って己の左胸へと導いた。強い陽射しに焼けたウルクの民とは違う、神に造られたというきめ細やかな白磁の肌にてのひらが触れた瞬間、その滑らかな感触にびくりと震える。その時指先が黄金の鎖に触れて、繊細な音を立てた。

 今てのひらが触れている肌、そこはあの致命傷を負った、そもそも命の大切な場所で、更に相手は王様で、身分的にも簡単には触れてはいけない場所のはずだ。それを、こんな無防備に。

「触れたかったのであろう? 好きにせよ」

 ギルガメッシュは立香の瞳を覗き込み、心の底を読み取るかのような言葉を発する。自分の欲求を見抜かれていることは相変わらず恥ずかしいけれど、許されれば触りたい。

 元々、立香は触れ合うのが好きだ。もちろんそれは親しい友人や家族といった意味合い程度で、今そこに生きているそれぞれの感触を、温もりを知るのが好きだった。けれど今、激しい胸の動悸と共に感じているこれは、カルデアで過ごす英霊達に対して向けている感情とは大きく違う。

 その感情を持ってギルガメッシュに触れることは、背徳感のような、自分の欲求を明け透けに見せている羞恥のような、もう後戻り出来ないことへ踏み込もうとする躊躇いと、それを上回る純粋な気持ちよさがあった。

 ただてのひらで触れているだけだ。けれどもそれが許されているというだけで、痺れのようなものが指先から、こころに、脳に走る。錯覚なのだろうけれど、それにはとてつもない中毒性があった。てのひらだけではなく、自然と唇を寄せたくなるような。唇で物足りないなら、次は舌で。そういう誘惑に次々に沸き起こる濃厚な欲求だけが先走って、魔力の強さに当てられたようにくらくらした。

 立香の様子を面白そうに見ていたギルガメッシュが、その赤いスピネルを妖艶な光できらめかせながらその唇を開く。その瞳から目が離せないまま、その舌の動きで、告げられた言葉を知る。

「ひとまずは、快楽に慣らしてやるところからだな」

 立香が恥ずかしがって脱ぐのを嫌がった下着の中は、ぐちゃぐちゃだ。

 王様の指が、立香の柔らかい下腹部の肌と下着の布の隙間にするりと入り込んでからはもう、身悶え、声をただ堪えることくらいしか出来ない。男性性を感じさせる、節の目立つ骨張った手に性器全体を擦られればつられて腰も動くし、先端が弄られればみっともなく腰は震えた。他人から与えられる予測できない快楽の隙間に、古代の王になんということをさせているのだ、という思いが過って顔から火が出そうになるほど恥ずかしかったが、必死に閉じようとする口からそれでも抑えがたく漏れるのは、浅ましい強請り声だ。

「んあっ、ぁああ…っ!」

 時折先走りで濡れたギルガメッシュの指が、びくびく震える立香の下腹部まで伸びて擽っていく。どうやら魔術回路の話をしてから、腹部が気になるようだった。少し執拗に、からかう動きのその手を止めようと王様の腕に重ねた立香の手はただ、添えるだけならまだしも、縋るように掴んでいる。

「ハ、猫の仔のように鳴きよるわ。よいぞ、存分に鳴け」

 立香の耳たぶをぬるりとしたものが這う。それがギルガメッシュの舌だ、と気付いたときには口の中に含まれ軽く歯を立てられていた。瞬間走った感覚に、与えられる快感を耐えるべく強張っていた体から、かくんと力が抜ける。その様子をからかうかのように、ギルガメッシュの熱く滑らかな粘膜に舐められたり吸われたり甘噛みされ、その指と同じく悪戯に立香を苛んだ。耳からのぞわぞわとした熱は、背筋を通って下腹部での直接的でいっそ暴力的でもある快感と混ざり合い、努力の甲斐もなく、あっけなく声が漏れてしまう。そうすれば止められない。

「あ、あっ、あっ…んんっ、ふ、ふぁっ、」

 反対側の耳までも、裏側を爪で軽く引っ掻きながら首の筋をなぞられ、遊ばれているのにどうにかなりそうになる。

 声を必死に我慢しようとも鼻から抜ける甘えたような声を聞かれて、どちらかといえば犬の仔かもしれんな、と敏感になった耳に直接呟かれた。

「……俺はヒトの子です…」

 息を荒げ、羞恥のあまり顔を隠しながら立香はもそもそと返す。 脱力し、完全降伏した犬のように、ベッドの上で腹を見せて脱力する立香に覆い被さりながら、彼の賢王は見せつけるかのように、にやりとことさら人の悪い顔で笑って見せる。

「若い粘膜は薄い。ゆえに感度が高く、粘膜同士を擦り合わせるだけでもあっけないものだ」

 乱され汚されていようが、いまだ辛うじて残されている下着越しに腰を重ねて、ギルガメッシュは何度か腰を突き上げるような動きをしてきた。それだけでも擦れた刺激が気持ちが良いが、先程のように直接指やてのひらで齎されていたような決定的なものではなく、少し、もどかしい。だが、この薄い布一枚が最後の砦だと立香は感じていて、それを超えてしまえばもう戻れない気がしていた。

 ギルガメッシュは立香に僅かに残る躊躇いや恐怖を理解し、面白がって敢えて脱がさず、立香の立て前の幼さを、児戯としてあざ笑うかのように容易く侵入した。当然の顔をして入り込み、けれど壊すことなくただ汚してみせた。

 ギルガメッシュの深淵を知る赤い瞳が透明な鋭さで、ランタンから受けたものだけではない彩《ひか》りで、きらめいている。

 合わさった視線は逸らされることなくそのままで、王様の指が、素肌の膝から太腿を下から上にたどっていく。もったいぶった仕草で下着の淵に掛かり、そしてゆっくりと曝かれながら、下着はずらされ、太腿を降り、足首を通って、放られた。

「それは口の中にも言える。口の中の粘膜の細胞は、これと同じものだ。口淫が気持ちが良いのはそういうことだ」

 王様がこれ、と直に触れ合っている腰をぐり、と動かした拍子に立香はあえかな悲鳴を上げる。勃ち上がった性器の裏側を刺激されるのには弱い。弱いことを覚え込まされた。もはや声を抑えることに意味はない。砦はすでに取り払われている。

 褒めるような仕草で立香の頬を撫で、その口を開かせる。侵入した長い指が口の内側を撫で回し、歯並びを滑って、挟み込んで縮こまっていた薄い舌を引き出す。

「快楽を耐える遊びはまだ早い。今はただ、素直に愉しめ」 震える舌を差し出す立香の唇へ、食らい付くように獣の仕草で噛み付いた。

* * *

 そうしてしばらくの間、夜になると星空の天蓋の下で、立香は自分の体についてよくよく覚え込まされた。

 これは立香の羞恥をいたく刺激することで、今までと違い、王様の部屋へ訪れるということは彼と肌を重ねるということで、つまり性的な関係を立香自身も望んでいる、ということを改めて意識し、認める必要があった。それは間違いなく事実だけれど、改めて認めるということは、はしたないというか、淫乱とかそういう、つまり自分はエロい人間である、と、認めることになるのではないか。事実ですけど!男だし!でもいや待って、別に見境がないつもりは…という多大な葛藤を繰り返したものの、元々触れ合いの好きな性格もあり、なによりギルガメッシュと過ごす時間は得がたいもので、色々あったものの落ち着いた。

 宣言通り今はまだ、立香の体を慣らすのが目的なので、所謂男女のような性行為には至っていない。自分の体の感じるところだけでなく、体勢によって力の抜き方、呼吸の仕方にも楽になったり気持ち良かったりとやり方があって、たまに王様は満足そうにうむうむと頷いている時もある。

 一緒にお風呂に入るのにも慣れた頃、向かい合った状態でそういえば、と立香は切り出した。

「俺、明日は自分の部屋で寝ますね。オルレアンに単独実習に行くので、明後日の朝が早いんです」

 いつもの起床時刻よりも早いから、起こしてしまうのは申し訳ない。ただでさえ忙しい人なのだから、ゆっくり休んで欲しくてそう告げれば、濡れた髪をかき上げた状態で王様は眉を顰めた。

「……ああ、何か通達が来ていたな。待て、帰還は一日後だろう」

「そうですね?」

 抱えた膝に顎を乗せていた姿勢のまま、首を傾げる。王様が不快になるようなことが何かあっただろうか。そう思って言葉を待てば。

「なんだと? せっかく毎夜掛けて開いたものを、また閉じてしまうではないか!」

「一体何の心配をしてるんですか!?」

「貴様のその――

「質問じゃないから答えなくて良いです!」

 恥ずかしさのあまり、思わずばしゃばしゃと水面を叩いて言葉を遮った。勢い余ってお湯が王様の顔まで飛ぶ。

「あ…」

「…ユーフラテスの氾濫を凌ぎきった王に水遊びを挑むとは、相変わらずの度胸よな。よかろう、しばし遊んでやろう」

 背後を黄金色の波紋で揺らし、睫毛の先まできらめく水滴をまとった王様が、不敵に笑った。

「うむ。当然の結果だな」

「王様ずるい…」

 微力で立ち向かったものの、魔術礼装もない状態の一般出身魔術師など、古代王の前には風前の塵も同じ。

 宝物庫になぜ水鉄砲まであるのか。戦闘時みたいに回転しながら水噴射するだけでなく、複数同時は威力が強い。水ではなくお湯だったのは配慮だったのかもしれないけれど、顔に的中したから目だけでなく、鼻まで痛い。なにより裸ですることじゃない。

 顔を押さえて浴槽に座り込む。あれだけはしゃいだのに浴槽のお湯は全く減っていなかった。寝そべって浴槽の縁に肘を置いた王様がにんまりと笑む。

「まあ、先程のは冗談だ。だが、お前はそれで良いのか?」

「え…」

 押さえていた手から顔を上げて、王様を見る。

「貴様がカルデアに戻った時には、我はすでに退去しているやもしれんぞ? 一日とて無駄には出来ぬはずだ。そうであろう?」

 本来なら人理定礎が済んだ段階で、サーヴァント達は退去が決まっていた。それを、亜種特異点という異常事態によって延期しているだけの、いつか終わりのある『今』だ。ギルガメッシュとの残された時間は少ない。まさにその通り。彼がそう判断するなら、今この瞬間ですら消えてしまえるのだろう。

 それを離せないと、手を伸ばしたのは立香だ。

 いつものように、立香を魂のそのひとかけらまで見通すような強い鮮やかな赤が、こちらを見ている。

「明日も、王様と一緒に寝ます…」

「うむ」

 立香の出した答えに、当然であろう、と尊大に頷いてみせるその様子に、なんだか悔しくなって王様に近付いた。そして前、洗髪していた頃のように両手を伸ばし、彼の髪をなるべく丁寧な手付きになるよう気を付けながら、アーチャーの時よりももっと落ち着いた感じの、ホームズのようなオールバックへと変えていく。濡れた髪は扱いやすい。それでも幾つか、短い金糸が白磁の額に落ちるそのうつくしさに、立香は無意識に微笑む。

「やっぱり、こういう感じも貫禄が出て格好良いです」

 そして相変わらず、お風呂でのギルガメッシュはきらきらしていて惹き込まれるほど目映い。綺麗で、愛おしいものをなんというのだろう。そう思って見詰めていれば、王様はまた眉間に皺を寄せた状態で瞼を閉じ、一度頷いた。

「……うむ。よし。よかろう、許す」

 それからギルガメッシュは唐突に立香の体を引き寄せると、くるりと向きを変えさせ、立香を子供のように膝に乗せてしまう。

 そうしてそのまま、ベッドで散々したはずだというのに、またもや立香の脚の内側へ、てのひらを割り込ませていくのに大きく声を上げる。

「えっ、なんで!? 王様、もう無理、もうでない!」

「心配するな。出さずとも幾らでも愉しめる体に躾けてやろう」

「なにそれ怖い!」

* * *