■この話は、プラチナの前世である『彼』によって遺伝子操作で生み出されたセレスが、『彼』を求めてベリルを作り、ベリルはジルを作った、というほぼゲームに沿って考えた現代パラレルでした。

 この話を未完の状態にするのは、話を考えていた当初の勢いを失ったのもありますが、大半のプロットを頭の中にしか保存してなかったために失ってしまったことが大きな理由です。

 セレスが出るところまで書けませんでしたけれど、まだ春の時点で20話越えているのなら、話の終わりである一年後の春頃には一体何話になっていたのやら…己の無計画さに今更突っ込みたい。

 色々セレスやベリルの年を取らない体についてや特殊能力について考えていたのですが、それも頭の中にしかメモを取っていないので忘れてしまいました。メモを取っていたとしても、話が壮大すぎて完結は無理だったろうと思います。

 ■セレスを作り出した『彼』は、人間に絶望して人間以上の存在を作ろうとしていたのですが、何故かセレス一人を作った後、莫大な資金のみ残しどこかに消えてしまいました。

 独り残されて長い時間を孤独に過ごしたセレスはそのうち、『彼』の訃報を知ります。そして、『彼』の体には『彼』が宿る、と信じ、『彼』を取り戻そうと、人間に絶望していたことも含めて、『彼』の研究を引き継ぎます。

 そうして出来たのがベリルで、ベリルは最初セレスに協力していたのですが研究の最終目的、「世界中の人間に『彼』が味わった絶望をまき散らす」、所謂復讐することに対してどうしても耐えられず、途中で袂を分かち、セレスを止める協力者としてジルを作り出します。(ジルはベリルがセレスの見よう見まねで作り出したので、セレスやベリルと違って成長します)

 そして長い時間を掛けて、セレスが『彼』の遺伝子を元にアレクとプラチナを作り出すことに成功。その情報を得たベリルはジルと共に二人をセレスの元から連れ出し、施設の主立った設備を破壊しました。『彼』の遺伝子からクローン的な人間を作り出すのは前々から判っていたので、セレスから二人を守るために財閥という盾を準備していた訳ですが、成長しないのでベリルは姿を隠すことに。
ベリルは二人が何も知らずに生きていけるならそれでもいいと思っていました。

 セレス、ベリルは人間+α(科学的ななにか)の特殊能力を持つ、遺伝子操作で誕生したイキモノ。

 ジルは人間+αの能力を持つけれど、基本的に人間。

 アレク、プラチナは、クローン的な存在。人間よりも弱い部分が多い。 …カテゴリ的にはこんな感じです。

 プラチナのファザコンはけして自分に逆らわないように、とセレスが植え付けたものですが、それがベリル達に連れ出されたりセレスの施設で暮らした記憶を封じられたりしたのが原因で、あんな不安定というか偏った状態になってしまいました。

 アレクとプラチナはベリル達に連れ出される前、セレスの施設で一年ほど過ごします。
その際、セレスの目を離した隙に復讐に使う装置(ウィルス空中散布装置みたいなもの。元々は『彼』が作っていた)に触れ、本来は復讐実行中に外部からの停止操作を阻止するためのロック機能を起動させてしまいます。

 ロック機能を解除しなければ、まず復讐実行自体も出来ません。また、二人のうちどちらがロック時のパスワードを入力したのかすら、判りませんでした。二人にロック解除をさせる前にベリル達に連れ出されたので、パスワードを手に入れるため、セレスは二人に近づく人間を捜すことにします。

 もともと、ジェイドはアメリカ某州の病院に勤務、サフィルスはその病院の患者として入院中、未知のウィルステロで病院が丸ごと感染し死に絶える中、辛うじて生き残ります。生き残ると言っても他の人より進行速度が遅いだけなのでワクチンを作る時間もなく、いずれは死んでしまう、という状態。

 そこにセレスが現れて、一時的に病状を抑える薬を二人に投与しますが効力はそこまで長くなく、完全なワクチンを渡す条件として、プラチナとアレクに近づくように言われた二人は、まだ死にたくないので準備を整え学園へ。

 ウィルステロはセレスがやったことなのですが(ウィルスは『彼』が作った空中散布装置の中身と同じ、とされるもの)、そんなことはおくびにも出さず。ジェイドはタイミングのいい登場に内心怪しんでいますが、逆らおうにもワクチンはジェイド独りでは到底完成出来ません。命を握られているも同然なので、仕方なく見て見ぬフリです。

 ジェイドとサフィルスが欲しいのはワクチンですが、そのためにアレクとプラチナを懐柔し、自分たちへの警戒を解かせ財閥のSPその他から離れて貰い、単独の状態でセレスのところへ連れて行かねばなりません。

 それぞれ罪悪感を持ちながら、それでも死にたくないので期限ぎりぎりで思い切って実行するジェイド達ですが、実際はセレスからはワクチンは貰えず、アレクとプラチナも死に掛けることに。

 セレスには逃げられ、結局、ジェイド達を救ったのはベリルの用意していたワクチンで(セレスの元を去る時に、ウィルスを持っていた)、死にかけたプラチナ達もベリルの手配した医療チームのお陰で完治します。

 ジェイドとプラチナ、サフィルスとアレクも互いに和解というか理解というか、そういう感じで仲直り…というかくっつく訳ですが。
アレクもプラチナも本来そう長く保つ体ではなく(プラチナの不調もクローン的な存在というところから)、またセレスに無茶をされたのもあって、本当に死にそうになります。

 仕方のないこと、と受け入れるプラチナと、今度こそプラチナを守る、と思うジェイドの元にセレスが再び現れます。パスワードを教えるなら助ける(セレスの特殊能力で)、というセレスの誘惑に、ジェイドは逆らうことが出来ません。

 そんなジェイドにプラチナはあれには絶望は詰まっていない、と笑ってパスワードを教えます。

 パスワードを入力したセレスが見たものは。

 ……という感じだったような。

 最後、セレスは独りで世界中を旅して、その特殊能力をこっそり使って重病者を治していたり、セレスをベリルが追っていたり、プラチナとジェイドはしあわせに暮らしましたとさ、で締めるつもりでした。

 ■読み返してみると、本当に、書いていた部分は序盤に過ぎなかったことを思い知ります……うわあ……。

 己の無計画さに、胸が痛みます。

 色んな部分で無理無謀な話でしたが、それでも付き合って読んで下さった方々、本当に本当に有り難うございました!